THE MEIGAZA Vol.58 〜早稲田松竹 映画コラム 〜 『アノーラ』とショーン・ベイカー監督特集
THE MEIGAZA Vol.58
10/25(土)~10/31(金)『アノーラ』とショーン・ベイカー監督特集
今回ご紹介するのはショーン・ベイカー監督特集と最新作『アノーラ』です。ショーン・ベイカー監督が日本で最初に紹介されたのは、2015年の東京国際映画祭で上映された『タンジェリン』でした。iPhoneにシネマスコープ用のアナモフィックレンズを装着した魔改造カメラで全編撮影された本作は、まさかこんないかれたことをするやつがいるとは、と観客を驚かせました。早速インディペンデント映画界のホープとして注目を浴びたショーン・ベイカー監督は新作を発表するたびに話題を集め、ついに2024年『アノーラ』によって第77回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最高賞)を受賞したのです。
大富豪の息子に「契約彼女」になって欲しいと頼まれたアノーラはついに結婚を申し込まれる。こんなシンデレラ・ストーリーみたいな話があるなんて…ストリップダンサーとして生計を立ててきた彼女は、本来なら擦り寄って来る男たちの言うことなど相手にしませんが、交際を申し込まれた彼の裕福な暮らしと紳士的な態度に心を許していきます。『アノーラ』と同様、今回上映する「ショーン・ベイカー初期傑作選」の4作品をみると、彼が悩みの多い貧困層を描いてきたことがよくわかります。その暮らしぶりゆえの切実さや、だからこそ夢を掴もうと手を伸ばす人々をショーン・ベイカーは親密かつユーモラスに描いています。その真剣で、滑稽で、愛おしい姿はきっと私たちを励ましてくれます。ぜひ一度彼らに会いに来てください。
10/25(土)~10/31(金)『アノーラ』とショーン・ベイカー監督特集
★二本立て上映(特別レイトショーのみ1本立て)
『アノーラ』
2024年/アメリカ/139分/DCP/R18+